高千穂鉄道 平成17年水害の被害状況
  
バスネタとは直接関係はしませんが、平成18年3月下旬に九州・宮崎へ行く機会があり、
高千穂鉄道の水害被災状況を見てきました。
大学時代、土木を専攻した自分としては、この被災状況は大変興味がありましたが、
今回自分の目でその被害状況を見て、改めてその被害の大きさに驚いた次第です。
この日は延岡駅からレンタカーを使って上流へと足を伸ばしてみました。

(以前撮影した高千穂鉄道が運行されているときの写真も追加でUPしました:平成18年6月追加)

いずれの写真もクリックすると拡大表示されます。

  

 
JR延岡駅の北側に併設されている高千穂鉄道延岡駅。
出入口には鍵がかけられ、人気もなく、ドアには営業を断念する旨の掲示がなされていました。
構内には延岡側に取り残された気動車1両がポツンと佇んでいました。
残りの仲間は高千穂駅にいるのでしょうか…
仲間から一人離されて、何か寂しげな感じがしました。

車両はTR−102号車「わかあゆ」


 

 
延岡を出て、延岡市街地を抜けてまず足を止めたのは日向岡元という駅。まだ平野といったのどかな風景で、山が迫っていないのでさしたる水害はなかったかと思っていたのですが・・・国道側は特に変わった様子はありませんでしたが、駅構内はご覧のように構内警報機は倒れ、支柱も傾いていました。やはりこの辺りも浸水があり、かなり激しい流れになっていたものと推測されます。
 
駅と国道の間の空き地には、近隣の線路や鉄橋などの残骸がかき集められ、うず高く積まれていました。それも赤く錆びており、年月の経過を感じさせていました。

 

  
次第に山が迫り、次に目に留まったのが川水流の集落。
ここは役場が浸水し、堰堤代わりの鉄道の線路を越えて川の水が流れ込んだ映像がテレビで放映されていたので、御存知の方も多いかもしれません。
ここで五ヶ瀬川を渡るのですが、ご覧のとおり橋梁は全て流され、手前は橋脚までが崩れ去っていました。
 

 
すぐそばを走る国道も、写真のとおり歩道の部分の盛土が削られ、アスファルトが崩壊しています。ガードレールや支柱の傾き具合から、川の方から強い流れが道路側を襲ったことが窺えます。
自動車交通には影響ありませんが、歩道の整備は後回しになっています。
 
 
 

 【写真上】
【写真下】
【写真上】
上記写真(川水流)このすぐ下流にPC床板でできたうさぎ橋という歩道橋があるのですが、これも被害を受けて撤去作業が行なわれていました。
ちなみにこのうさぎ橋は平成3年頃の完成で、その完成直後にわざわざ自身が見に行ったので思い出深い橋です。しかし、そんな最新技術を駆使して掛けられた橋も自然の猛威には勝てなかったことに、私自身少なからずショックを受けました。
 
(この橋は途中に橋脚がなく、両端からの引張力〔張力〕だけで架橋された珍しい橋です。ちょうど両手で糸をピンと張った、そんな構造の橋になっています。橋本体そのものがスリムに出来ていますし、橋脚が無いので流れの影響を受けにくいのですが、今回はその橋梁以上に水位が上昇し、激しい流れに勝てなかったものと思われます)

【写真下】
完成間もない頃のうさぎ橋。真っ白な橋脚のない美しい橋でした。
PCで伸張してるだけですので、真ん中付近に立つと、つり橋のように少し揺れるのが面白かったですね。
平成5年頃撮影

何気ない斜面でもいたるところでこのような斜面崩壊(円弧崩壊)が生じて、線路が宙吊りになっていました(規模は小さいですが)。橋梁・トンネルなど危険な箇所へは立入ができないよう、安全柵が設置されていました。
亀ヶ崎付近にて
併走する県道もあちこちで路盤流出が発生、片側交互通行や大型車の通行が規制されていました。
(ここは旧国道ですが、国道はバイパスが完成し、そちらの被害はほとんどなかったため、自動車流通に関しての通過交通の障害はほとんどないようです)

 
槇峰駅手前の県道と併走する区間です。かなり古いと思われる形の違うアーチ橋が連なっていますが、この辺りは水位上昇があまりなかったのでしょうか、被害はほとんどなかったようです。

 
槇峰駅構内。被災はしていませんが、ご覧のとおり列車は来ませんので線路は赤く錆びています。
特に運休するなどの掲示はなされていないようなので、気が付かなければそのまま列車が来るのを待っていても違和感ないですね。
 
 
槇峰付近をゆく高千穂鉄道の車両。
パノラマ車両を従えた編成となっています。
この写真のパノラマ車両は、水害発生前に引退し、
高千穂近郊で国道沿いの
休憩所のような形で利用されているようです。
 
平成3年11月撮影

 
槇峰駅の先、見た感じなんともないのですが、よく見るとバラストが流出しており、線路が浮いています。この状態で車両の走行は難しいですね。

 

 

 
日向八戸〜吾味間にある五ヶ瀬川を渡る橋梁です(第3五ヶ瀬川橋梁)。ここの橋梁は川幅の広い美しい五ヶ瀬川を跨ぎ、構造的にも凝った造りの橋梁を渡る箇所で、私のお気に入りのポイントであるのですが、ご覧のとおり、橋梁・橋脚は大丈夫だったのですが、上路橋トラスの下部部分に沢山の流木が引っかかったままになっています。
 
この場所はダム湖の湖面にかかっていますので、普段は流量に動きがなく、水位も一定なのですが、水害時は予想以上の水位上昇があったことがわかりますし、その流量も流力も凄まじかったものと推測されます。構造物への被害はほとんどなかったようなので、車両の走行は可能だと思うのですが・・・もうこの区間を高千穂鉄道の車両が走らないのかと思うと残念でなりません。
 
この日は風もなく晴れた穏やかな日で、湖の水面は美しいコバルトブルーで覆われていました。激しい水害に襲われたなんてちょっと想像できない、そんな感じでした。
 
 
第3五ヶ瀬川橋梁を渡る高千穂鉄道の車両。
この写真をみて不思議に思ったのですが、
鉄道橋のすぐ上流にトラスタイプの
水色の道路橋が確認できますが、
水害後に現地を見た限り、
この橋梁は無くなっていました。
(かろうじて川岸の台座部分だけが残っていた)
この橋梁は今回の水害で流されたのでしょうか?
それとも、上流にもっと立派な道路がありましたので、
災害前に架け替えられていたのでしょうか??
 次行の【写真A】参照
 
平成3年11月撮影

 
【写真A:写真中央付近の対岸に
橋脚の台座らしきものが確認できます】
上の区間と併走する県道は、鉄道より低い位置を走っていたため、路盤流出の影響を受けていました。
吾味〜日之影温泉間は、併走する県道も通行止めとなっており、一旦国道(バイパス)へ出なければなりませんでした。
吾味を出発する高千穂鉄道の車両。2両編成でしたが、乗客はまばらだったかと記憶しています。
 
平成3年11月撮影

同じ橋梁を撮影したのがこちらの写真です。橋梁の手前には柵が設けられ、容易に立ち入れないようになっていました。


 

 
日之影温泉駅。訪れた日は第4月曜日だったため、元々休館日?だったようです。
このような被災状況下ですので、普段の日は営業しているのかはわかりませんでした。(特に営業に関するお知らせ等は確認できませんでした)
ここは道床が流出し、無残な姿となっていました。何故かここの出発信号機だけは赤色が点灯しており、その姿が逆に虚しさを誘っていたように見えました。

ここから高千穂方面も五ヶ瀬川沿いの県道は通行止め。すなわち、日之影の集落は、その川沿い両方の県道の行く手を阻まれ、且つ鉄道も走らない状況で、頼りは頭上はるか高い場所を通過する国道(バイパス)だけという、不便な生活を強いられています。
見た感じ、日之影の集落は普段と変わらない様子でしたが、影響は大きいのでしょうね。

この赤信号、高千穂鉄道の行く末を案じて点灯しているのでしょうか…
水害に遭い、その強い流れに傾いてしまったサクラの木。
でも今春、立派な花を咲かせました。
高千穂鉄道もこの木のように前途に屈することなく
力強く前進してほしい
そう願う次第です。
  
 
ここから先は時間的な制約や、鉄道の被害状況も比較的軽微と聞いていました
(ここから先は建設が比較的新しく、鉄道建設公団が施工し、
トンネルが多く川面から高い位置に敷設されている)
ので調査は行なっていません。

情報によると、被害の少ない日之影温泉〜高千穂間だけでも部分的な運行も検討されていると聞きます。
末端区間だけの運行では、経営的にも厳しいものがあるかと思いますが、
高千穂観光のひとつとして、また地域活性化のひとつの方策としても
なんとかこの鉄道を活かしてほしいと思います。
最近実用化へ一歩近づきつつあるバスと鉄道両方の機能を兼ね備えた
JR北海道が開発しているDMVも導入の検討に値するかもしれません。

最後になりましたが、被災された沿線の皆様の一刻も早い復興を願っております。

平成18年4月 管理人 祈祷院真須実

撮影はいずれも平成18年3月 管理人撮影

 
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